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保健の先生

保健の先生 9

それで全然関係ない話なんだけどさ、
当時俺毎週土曜に
15km離れた店にチャリンコで買いに行ってたの。
何でかって?普通俺らのとこってジャンプ月曜発売なのよ。
でも何でか知らないけどその店だけ土曜に売ってんの。
コソコソと。
あれ多分いけないんだろうけどね。
それで俺の中学で噂になっちゃってさ、
野郎ばかりチャリでこぞってそこに買いに行ってた。
ま~今考えるとかなり遠くまで行ってたんだな~と
思うんだけど坂上ったり下ったり、
高速の下のくぐって延々と炎天下の中
たかが少年誌1冊の為に買いに行ってた訳。
馬鹿みたく。
先生の住むマンションが
その行く行程近辺にあるって事を
知ったのは全くの偶然だった。
近くに住んでる奴が
○○先生あそこのマンションに住んでんだぜって
言ってるのを俺はそば耳を立てて聞いてしまったのである。
うっそ~ん!そんなん何でもっと早く言ってくれないの?
つっても何ができるっつぅ訳でもないんだけどさ。
ちょうど先生と関係するようになった矢先に聞いた話だったから、
厨房なりにほのかに萌えるもんがあったんだよね。
あ~ストーカーとでも何とでも言ってくれよ。
俺はきっちり先生のマンション確認したさ、
しかも先生のマンションきっと旦那も
安月給なんだろうな公営住宅っつぅの?
セキュリティーとかも全然無くって
1階に各部屋のポストが有るから
俺は先生が何号室に住んでんのかもチェックしちまった。
いや、中は見ねぇよマジ。
そこはやっていい事と悪い事の分別はついてるつもりだったから。
まぁポストに鍵かかってたつぅのもあるけどね。
俺は毎週土曜日になると少しだけ横道に逸れて
先生のマンションを外から確認してたわけ。
あ~洗濯物干してある・・・とか、
まぁあの・・・下着とかもね干してあった。
しかし別に双眼鏡でのぞいたわけじゃねぇしさ、
そんぐらいは有りだろう?有りだよな?
キモイとか言うなよ。
で、先生が通らないかなぁとかドキドキしたりして・・・。
ま、いっぺんも逢わなかったけどね。
どんぐらい続けてたかなぁ・・・って多分1ヶ月ぐらい?
ごめん忘れちゃった。
で何かそん年の夏って凄い夕立っていうのか
突発的に物凄い雨が何回か降った事があった。
それで、まぁだからってどうって話でもないんだが、
俺はいつものごとく土曜にいそいそと
ジャンプ買いに遠出しようと思ったわけ。
が、前方に凄い暗雲が立ち込めてるわけよ・・・。
こりゃ降るかな・・・いや、
全力で行けば間に合うか?・・・俺の中で葛藤した。
しかし真夏だしね、
ちょっとやそこら降られたからって凍えるわけでもないし、
俺は若さも手伝って強行する事にしたわけ。
(あ~今日はせんせの所には寄れねぇな・・)とか思いつつ。
ガー!ともんのすっごい勢いでチャリを走らせた。
今にして思うと、
何でジャンプごときでんなエネルギー使ったんだろう?
とか思うんだけどあれって一種の中毒なのかな?
続きを誰よりも早く一刻も早く読まないと気が狂うというか
一週間をまともに暮らせないような錯覚に陥ってたんだよね。
ほんとアホみたい。
で、ぐんぐん坂を上り下って高速の下を通って店についた・・。
(あったあった、よぉし、クリアしたぞ)
俺はハァハァと息を荒げながら店に入り、
店頭にあるジャンプを買うと表に出た・・。
すると、ん?・・ん?・・・ポツポツと顔を叩く
ヒンヤリとした冷たい感触。
(やばい!雨だ)
俺はチャリに飛び乗ると一気に今来た道を走りだした。
上見るとさ、
映画のCGじゃねぇか?っつぅぐらいの
真っ黒い雨雲が立ち込めてんのよ。
で、ピカピカピカ綺麗な稲光が何本を光ってんのよ、全面に。
ボタボタすげぇ大粒の雨がアスファルトに
ビシャビシャ叩きつけると埃っぽかった
アスファルトが特有のツンと饐えたような匂いがして、
やばいこれはもうアウトだ・・・。
俺はもう天然シャワーを浴びる覚悟を既に決めた。
が、シャワーは甘んじて受けるが、
怖かったのは雷だった。
いや、普通の雷ってさ、
光ってから若干音が鳴るまでタイムラグがあるじゃん?
ピカ!ガーン!っつって、そりゃもう怖ぇ怖ぇ。
今は笑い話にしてるけど
俺・・・死ぬんだ・・・とか、
思った記憶あるし。
けど、それだけじゃ済まなかったんだよね、結局。
確かその時の暴風雨っつぅの?
ニュースとかでも結構騒がれてたと思うんだけど
今まで何十年も決壊した事がない川とか決壊しちゃってさ、
床上浸水とかしちゃったやつ。
覚えてねぇ?
で、
マンホールのフタとかポコポコ浮き上がっちゃてるし、
高速の下とかもぅベルトの辺りまで水きてんの。
突破したけどね。
5kmぐらい走ってるとこでもう立ち往生っていうか、
とりあえず雨脚が弱まるまで待たないと
下手すると溺れ死ぬんじゃねぇか?って
状態だったもんだから俺はちょっと小高いとこにある
クリーニング屋の屋根の下で雨宿りすることにしたわけ。
が、普通はその類の突発的な豪雨って
30分とかそんぐらいで止むだろ?
止まねぇんだよこれが
2時間ぐらい待っても止まないから俺、
怖くなっちゃってさ。
もう何が何でも家に帰りたくなっちゃったわけ。
やっぱ厨房なんだな。
俺は止まない豪雨の中を飛び出した・・・が、
やばい・・・もう駄目。
川が完全に決壊してんだもん濁流になっちゃって
一歩も前に進めない。
立ち尽くす俺だった。
が、ふとテンパった俺の脳裏にとある人の
顔が浮かんだのである。
そう、先生だった。
先生のマンションまでもそこから
まだかなりある状態だったが
迂回していけば何とか行けるような気がしたのだ。
俺はヨレヨレと先生のマンションに
向かって迂回をはじめた。
結局先生のマンションに
着いたのどんぐらいだったのかな・・。
普通だと5分チャリで行けばつくとこだったけど
1時間ぐらいかかったかもしれん。
でも、
ようやっと着いたは良いけどもう既に
普通の家庭じゃ夕餉の支度でもしてる時間だ。
俺は先生のマンションのドアを
叩くかどうかメチャクチャ迷った。
とりあえずこのマンションの下でやりすごすって手もある。
雨全然やまねーけど・・・。
もし偶然先生に見つけてもらったら
ラッキーとか思ってたんだけどさ、
人間どういうわけか暗くなると弱気になるんだよな。
凄く悲しい気持ちになってきちゃって、
意を決し先生のマンションの部屋の前まで行ったわけ。
照明点いてるのが玄関のドアの上の小窓から分かる。
が、あ~もう!
ピンポン鳴らすのメチャクチャ緊張する!
心は行こうとするんだけど指は硬直して全く動かないわけ。
で、そうしてるうちに他の部屋の人が出入りしたりしてさ、
怪しまれそうだから、
今出てきた風にして一回外に出ちゃった。
あ~!俺何やってんだ?と思ったね。
で、俺も馬鹿なんだけど、
哀愁を漂わす為に故意に表出て
濡れ直しちゃったりなんかして・・・。
しかも泥つけちゃったりなんかして・・・。
今思うとほんと馬鹿。 
(よし、
 これぐらいなら先生の所に逃げ込んでも大義名分あるよな?)
とか思いつつ再び先生の
住む部屋番の前まで来た。
そうこうしてるうちに雨足が弱まっても困る。
いや・・・今思うと弱まってもらった方が良かったんだが。
行くと決意したら行かなきゃならないような
気になっちゃってたんだよな。
で、俺はとうとう押しちゃったよ、
ピンポーン!とね。
い~や~!
スピーカーの所から返事が来る瞬間が超緊張したって。
「はい、どちら様ですか?」
って野太い声。
あ、旦那だなと直感した。
(どうしよう?おっかねぇ人だったら。
 ピンポンダッシュで逃げるか?)とか
この期に及んで腰が引ける俺だった。
「○○学校の○○ですけど○○先生居ますか?」
と、辛うじて答える俺だった。
いや、もう口んなかカラカラ。
ガチャとドアが開くと先生が姿を現した。
ジーンズにTシャツだった。
でエプロン。
確か・・。
美人はラフな格好でも似合うからいいね・・。
んな事はどうでもいい。
「ど、どうしたの!そんな格好で!!」
と俺の方がびっくりするような大声で先生が言った。
おれはシドロモドロに
「ジャンプ買いに行こうと思ったら
 降られちゃって・・・ちょっと帰れそうにないから・・」
とあらかじめ用意していた言い訳にもかかわらず
中々ロレツが回らない俺だった。
「今凄い雨でしょ?ニュースでもやってるわよ」
って言って先生何もとがめず俺を中に入れてくれた。
あ~やっぱり先生は良い先生だ・・・
俺が愛しただけの事はある。
そう思った。
とりあえず洗面所で着替えるように促される俺。
3歳ぐらいのガキンチョが好奇心旺盛そうな目で
「この人誰?」
と先生に聞いている。
「お母さんの学校の生徒さんよ、コンニチハは?」
と先生。
俺は
「ドモ・・・」
と子供に会釈すると子供は恥ずかしいのか
先生の後ろに隠れてしまった。
とりあえず旦那のものとおぼしきジャージに
着替えさせられると居間に通される・・。
旦那だ・・・。どうやら晩酌をしているようだった。
先生よりちょっと年上なんじゃねぇかな?
恰幅良くて割と人懐こそうな人だったよ。
ちょっとキツめの先生には丁度いいかも。
とか思った記憶がある。
「いやいや、大変だったねぇ、
 今ニュースでやってるよ。
 ここ○○公園だろ?」
とか言ってあたかも前から知ってるかのように
俺に話しかける旦那だった。
このへんが貫禄だな。
人見知りな俺にはできん。

「とりあえずおうちに電話したら?」
と先生。
そうだった、きっと心配してることだろう。
ウチの親の方針はマンガは馬鹿になるから禁止なのだが、
姉貴のチクリで俺が毎週土曜にはるばる
遠くにジャンプを買いに行ってる事を知ってるのだ。
とりあえずジャンプだけはOKって事で。
とりもなおさず家に電話を入れると
お袋が先生に代われと言い話し好きのお袋と長電話に・・・。
あ~何だか超居心地悪いな俺・・・。
やっぱ好きな先生の家とはいえ
他人の家だと急に帰りたくなる俺だった。
小止みになってればと思いつつ
俺は席を立つと窓側に行ってみる。
先ほどまでの狂ったような降りではなく
かなり情勢は落ち着きつつあるようだ。
しかしもう夜。
この豪雨で外の状況がどうなってるのかは予断を許さない。
「まだちょっと難しいんじゃないかな・・」
俺の意図を察したのか旦那が
俺の隣に立ち外の様子を伺っている。
「はい」
と小さく頷く俺・・。
と、先生もようやくお袋との電話が終わったようだ。
「今日は泊まって行った方が良いんじゃないかな」
と先生。
まだ寝る時間には相当早く、
この気まずい状況下で寝る時間までもたすのは、
例え危険を冒しても帰る選択肢の方が魅力的に思える俺だった。
だって言っちゃ悪いがとにかく狭いんだもん。
まぁ俺の家も相当狭いけどね。
身内だからもってるわけで先生夫婦子供と一緒に過ごすには
思春期真っ盛りの気難しい年頃の俺にあっては相当居心地悪かったわけ。
「い、いや・・もう大丈夫なんじゃないかな
 俺ちょっと下行って見てくる」
と思わず言ってしまった。
「駄目よ!まだ降ってるじゃない
 怪我でもしたら帰した私の立場ないじゃない」
と先生。
「うん無理しない方がいいよ」
と旦那も同調した。
「う・・・うん、でも一応外見てくるよ」
俺はそう言いながら玄関の方へ向かった。
もし行けそうならこのまま強行突破しちゃえって気だった。
しっかし先生も感が鋭い、
俺の後ろにしっかりついて来てんの。
疑い深そうな目をして。
(あ~これを振り切るのはちょっと難しいかな・・)
と思ったが、
現状況はそんな甘っちょろいもんではなかったのである。
俺と先生は下まで降りると
やはり気になってる人が何人かいたらしく
ザワザワと何やら話してる訳。
先生は知ってる人を見つけると
「何だか凄かったですねぇ」
とご近所さんに話しかけてるようだ。
「○○川が氾濫してるらしいよ」
とご近所さん。
あ、○○川っつっても小さな川ね
用水路のちょっと大きい版みたいな。
だから俺は大したことないやと
思ってたんだけどちょっと興味半分で
「先生見に行ってみようよ」
と俺は先生を誘ったわけ。
何だかこういうのってワクワクするじゃん?
台風とかさ。
大人になるとぜんぜんワクワクしないけど。
先生は仕方ないわねと言う表情で同行することに。
川はすぐそば多分50m前後ってとこだろう。
俺はいつもその川近辺の道路を利用してるからすぐ分かる。
が、10mも歩いたところで俺は驚愕した。
嘘だろ?
もうすぐ前は濁った水が暗闇の中を
不気味な流れとなって溢れてんの。
凄ぇ・・・映画みたいじゃん。
俺はちょっとたじろいだね。
「こ、これは・・・」
って先生も絶句してるし。
後で知ったがやはり開発で地面を全て
アスファルトで固められてしまったために雨が
地面に浸透せず全部川に流れる為に決壊したらしい。
いやはや俺は生まれて十数年経つわけだが
この川が氾濫したって記憶はないよ。
台風とかでも無かったし。
「今日は泊まりなさい」
先生が冷静な命令口調で言った。
「はい」
従順に従う俺だった。

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